ビジネス×行動経済学

行動経済学をビジネスに適用することを目的にしたブログです

営業×行動経済学 ①

 

はじめに

 

行動経済学の理論などを見るにつけ、常々ビジネスに役立ちそうだという感覚はあったのですが、なかなかその個々の理論と実際のビジネスを結びつけることに難儀していました。

 

同じ思いを持っている人が多いからか、最近は、「行動経済学が最強の学問である」や「BXストラテジー 実践行動経済学2.0 人を動かす心のツボ」など行動経済学をビジネスと結び付けようとしている良書は出てきてはいます。

 

行動経済学の理論がビジネスに役立ちそうだという直感はありつつも、適用が難しいのは体系だっていないから、という指摘も多く見かけます。

 

そのことを踏まえ、上述の良書やその他有用な情報を参照しながら、実際のビジネスで利用されるフレームワークやプロセス、ツールなどに行動経済学の各理論を当てはめながら、体系立たせていくことで、実際のビジネスに活用できるようにしていこうというのが本ブログの主目的です。

 

主なテーマとしては、営業、マーケティング、マネジメント(組織、プロジェクト)などになりますが、私自身も行動経済学を学習中の身であるため、そこは違うのでは?という異論も出てくるもと思います。

 

その際は、ぜひコメント欄で指摘いただき、そこで新たに得た知見を再度記事化し、より良いものにしていきたいと思っていますし、行動経済学を実際のビジネスに結び付けていきたい、という同じ志を持っている人たちとオンオフ混在のコミュニティなども形成していきたいとも思っています。

 

ここで取り上げる内容は、ブログタイトルで行動経済学と銘打ってはいますが、実際には認知心理学社会心理学を中心とした心理学の要素なども入っており、厳密に出異議すれば行動科学と銘打った方が良い気もしますが、自身の馴染みもあるので行動経済学という言葉を使っています。

 

さて、序文がだいぶ長くなってしまいましたが、本題に入っていきたいと思います。

 

営業×行動経済学

記念すべき第1回目のテーマは、「営業×行動経済学」ということで、営業プロセスという観点から行動経済学の各理論との結びつきを考察していきたいと思います。

 

新規と既存が混在する形でのアプローチになっていますが、一般的に営業プロセスは以下の通りに分解できるかと思います。

 

営業プロセス

長くなりそうなので2回に分けたいと思いますが、まず今回は赤枠部分の「アプローチ(アポ取り)」から「商談-初回(ヒアリング)」まで説明したいと思います。

 

アプローチ(アポ取り)

まず、「アプローチ(アポ取り)」は新規の場合、電話やメールなどで行い、既存の場合は先方オフィス内で声をかけるなどもあるかもしれませんが、いずれにしても好印象を与え、話しを聞いてもらうために興味を持ってもらう必要があります。

 

好印象を与えることに関しては、初頭効果もありますが、まずはポジティブなハロー効果でしょう。電話であれば、話し方やあいさつ、声の明るさなどでアプローチをしないと、その次のステップに行く前に、いきなり電話を切られてしまうこともあるでしょう。そういう意味で「悪影響」に分類されるネガティブなハロー効果を与えてしまうことは避けるべきです。

 

メールにおいても、ビジネスマナーに則っていることはさることながら、次のステップである商談に進めるよう簡潔かつ興味を持ってもらえる内容でなければなりません。

 

新規の場合は、そのお客様のことはホームページなど公開されている限られた情報しかないので、対象のお客様が属する業界、従業員数・売上規模の企業が抱えていそうな課題をバーナム効果で投げかけ、自分に関係がありそうと捉えてもらい、話しを聞いてみても良いと思ってもらう必要があります。

 

また、既存顧客の場合は提案を聞いてもらうために、ザイオンス効果を使い、頻繁に顔出しし好印象を持ってもらい、「あなたが勧めるのなら話は聞いてみるよ」という気にさせる必要があります。

ただ、ザイオンス効果は一般的に先のように接触頻度の高い対象に好意を抱く、ということで他の文献などでも推奨されていることが多いのですが、私個人的には諸刃の剣であると思っています。

 

というのも、用もないのに頻繁に顔を出されると「鬱陶しい」と逆にネガティブな感情を持たれてしまう可能性もあるからです。

 

したがって私としては、ザイオンス効果で説明される接触頻度に関しては、プラスに働く場合もあるが、マイナスに働いてしまう可能性もあるので、利用は顧客ごとに見極める必要があると思っています。

 

初回提案(ヒアリング)

さて、続いては「初回提案(ヒアリング)」の段階です。

 

最近はリモートワークが一般的になった影響で、対面ではなくZoomやTeamsなどでのWeb会議も多くなってきてはいますが、初回の場合はやはり対面での打ち合わせということが多いかと思います。

 

初回であれば、Web会議でもカメラをオンにするでしょうし、その場合でもハロー効果は重要になってくるでしょう。

 

打ち合わせの内容重視ではありますが、第一印象で不快なイメージを与えてしまうと、説明やヒアリング内容がどんなに秀逸でも、相手は既にマイナスイメージを持ってしまっているため、響かなくなってしまいます。

 

そのためにもポジティブなハロー効果を与えることが重要ですし、最近特にWeb会議だと油断があるのか身なりが整えられていない人が多くなっている印象もあり、それはネガティブなハロー効果を与えてしまいます。

 

また、初回ですと空いても警戒感をもって打ち合わせに望んでいることも多いので、ここは返報性の原理、特に自己開示の返報性を利用するのが良いと思います。

 

初回の打ち合わせでいきなり、「御社の課題はなんですか?」と聞いたところで、信頼関係の構築がなされていないので、素直に答えてくれる確率はほぼゼロです。

 

まずは自身の自己開示を行うことによって、相手の警戒心を少しでも緩ませ、自己開示に対する返報性を引き出すのが良いでしょう。

 

そこでうまく、相手が自身(自社)について語ってくれるようになったら、不満を吐き出させるカタルシス効果に持ち込めると良いです。

 

不満=課題と言えるので、そこで相手(会社)の不満を吐き出させ、それを課題としてとらえ、自社で何が解決できるのかを導き、次の打ち合わせでは自社の製品やサービスを軸に、「御社の課題を解決(軽減)できる提案をさせてください」といって、2回目の打ち合わせをその場、もしくは打ち合わせ終了後の御礼メールの際に確定するのが良いです。

※「鉄は熱いうちに打て」ですね。

 

最後に

さて、今回は序文もあったため長くなりましたので、先述の通り、「商談-2回目(提案)」~「クロージング(契約)」~「アフターフォロー(リピーター)」については次回説明したいと思います。

 

次回もそうですが、今回の内容は先に紹介した「行動経済学が最強の学問である」や「BXストラテジー 実践行動経済学2.0 人を動かす心のツボ」以外にも、以下のYoutubeチャンネルなども参考にさせていただきました。

 

日本営業科学協会が運営する大学校 - 行動経済学応用コース

 

では、また次回!