皆さん、こんにちは。
本ブログは行動経済学を実際のビジネスに適用していくことを主目的としています。
本日のお題は「営業×行動経済学」の続きです。
はじめに
行動経済学の理論を中心に、認知心理学や社会心理学などの要素も交え、ビジネスの様々なシーンやプロセス、フレームワークに適用し、実践に役立てていきたいと思っています。
さて、前回は「営業×行動経済学」ということで、営業プロセスを5つに分け、そのうちの「アプローチ(アポ取り)」と「初回提案(ヒアリング)」について説明しました。
behavioral-economics.hatenablog.com
そして本来、今回は後半戦として、残りの3つのプロセスを説明しようと思っていたのですが、「商談-2回目(提案)」に関連する、理論・バイアスが多めなので、結果それぞれの説明も長くなってしまうので、今回は「商談-2回目(提案)」のみに絞った説明にして、「クロージング(契約)」と「アフターフォロー(リピーター)」については次回に説明を回したいと思います。
商談-2回目(提案)
では「商談-2回目(提案)」について見ていきましょう。
提案は、相手がキーパーソンであればあるほど、数多くの提案を受けているでしょうから、印象に残るようにするというのを主眼にする必要があります。
提案は資料を作成しプレゼンをすることで行われることが一般的かと思いますが、印象に残るにようにするには、やはり強弱・メリハリが重要で、そこに役立つのが「ピークエンドの法則です」。
一般的に人は、何かを見る、聞く際にはすべてを覚えているということはなく、最も盛り上がったピークの時と、最後の最後、エンドの時を印象深く覚えているものです。
そのため、プレゼンも初めから終わりまで淡々と進めるのではなく、ピークとエンドを意識し、そこで一番訴えたいことを持ってくるようにする必要があります。
また、表現方法も大事で、同じ事柄でも言い方次第で印象が変わる「フレーミング効果」なども重要です。
フレーミング効果では一般的に以下のような事例が紹介されます。
この手術が成功する確率は80%です。
この手術が失敗する確率は20%です。
どちらも同じ事実を説明していますが、言い方を変えるだけで、印象はだいぶ変わりますが、これは、プレゼンでも同様です。
基本的にはポジティブなフレーミング効果を狙った方が良いのですが、「○○をしないと××(という悪い状況)になってしまいますよ」というようなネガティブなフレーミング効果で印象付けを行う方が効果的な場合もあります。
また、ネガティブなフレーミングは誠実さを表す場合もあります。
このプロジェクトが成功する確率は99%です。
このプロジェクトが失敗する確率は1%です。
良いことばかりを強調して言うと、かえって嘘くさく聞こえてしまう場合もあり、正直にネガティブなフレーミングで表現することが功を奏する場合もあります。
プレゼンにおいては「アンカリング効果」も重要です。
「参照点」とも言われますが、最初に与えられた情報が「アンカー(参照点)」となり、その後に提示された情報への認識が異なってくるものですが、これは「コントラスト効果」にも通ずる考え方です。
人は基本的には対象を単独での絶対的な評価というものはできず、必ず何かと比較して相対的に評価をするものです。
そのため、スタートともいえる「アンカー」をしっかり位置付けることで、その後の説明が効果的になるよう配慮する必要があります。
コントラスト効果に触れたので、比較という点でマイナス面の説明もしておく必要がありそうです。
人は通常、何かと比較して評価し選択をするわけですが、その選択肢が多すぎると「選択のパラドックス(※選択回避の法則とも)」に陥ってしまいます。
選択しやすいようにと選択肢を増やすとかえって、選択不能に陥ってしまい、どれも選択されないという悪い結果をもたらすことになってしまいます。
一般的に選択肢は「7±2」が良いとされますが、一般的なBtoBにおける提案では3~5くらいが良さそうというのが実感です。
悪い結果をもたらす例
悪い結果をもたらす例をあげたついでに、もう1点気をつけなければならないのは、プレゼンの配色です。
人は意味と色が異なる場合、それぞれの印象が干渉しあってしまい、理解をするのに時間がかかってしまいます。
ストループ効果の一般的な説明では、「赤」という文字を赤色ではなく青色で書いた時などに発生することなどが挙げられますが、これと似た形でマイナスなイメージに青色を使い、プラスなイメージに赤色を使うなどでもストループ効果が発生してしまうでしょう。
また、悪い結果をもたらす例としては「フォールスコンセンサス効果」などもあります。
これは自分の意見や考え方が主流で、正しく、それを理解してもらえないことが理解できないという状態ですが、プレゼンの時よりもむしろプレゼンが終わった後のお客様の反応が悪かった時に、発生してしまいがちです。
このフォールスコンセンサス効果が発生してしまうと、商談の失敗を相手(お客様)の性にしてしまい、自身の説明で足りなかった点や悪かった点に気づくことができなくなり、以後の改善にもつながらなくなってしまうので要注意です。
さて、説明しきれていない理論・バイアスなどもありますが、それは今後追々説明していくとして、今回はここまでにします。
では、また次回!