皆さん、こんにちは。
本ブログは行動経済学を実際のビジネスに適用していくことを主目的としています。
行動経済学の理論を中心に、行動心理学や認知心理学、社会心理学などの要素も交え、ビジネスの様々なシーンやプロセス、フレームワークに適用し、実践に役立てていきたいと思っています。
近年、上司と部下の間で生じる認識ギャップが職場の生産性や雰囲気に深刻な影響を及ぼしていることが明らかになっています。たとえば、DIMEの記事によると、上司が部下の適切な人事評価を行っていると感じている割合は53.0%であるのに対し、部下が上司から適切に評価されていると感じている割合は33.8%と、約19.2ポイントのギャップが存在しています。
このような認識のズレは、部下のモチベーション低下や離職意向の増加につながる可能性があり、上司として見過ごせない問題です。
今回のコラムでは、DIMEの記事が指摘するような上司と部下の間にある認識ギャップがなぜ生まれるのか、認知バイアスや心理的理論を基に分析します。また、具体的な解決策を提案することで、職場のコミュニケーションを改善するヒントを提供します。
認識ギャップを生む理論とバイアス

自己奉仕バイアスと情報の非対称性
上司と部下の間で生じる認識ギャップの一因は、自己奉仕バイアスです。たとえば、上司は自分が「部下の話をよく聞いている」と過大評価しがちですが、部下から見ると「話を聞いてもらえない」と感じることがあります。DIMEの記事でも、面談で部下が本音を話せていると感じる割合が55.6%である一方、上司の認識では70.0%とズレがあると指摘されています。このギャップには、上司が部下の課題や感情を十分に把握できていない情報の非対称性も関係しています。
期待と現実の不一致
部下が上司に期待する「適切な人事評価」や「迅速な意思決定」に対して満足度が低いことも、ギャップを生む原因です。たとえば、部下が業務上の課題解決を迅速に求めても、上司が「時間がかかる」と言い訳をしてしまうと、期待は裏切られます。このような状況は、上司と部下が役割や行動基準を共有できていないことが原因です。評価基準や意思決定のプロセスを透明化することが、この問題の解決につながります。
心理的安全性の欠如
心理的安全性が不足している職場では、部下が「発言するとリスクがある」と感じ、本音を隠します。たとえば、会議中に部下が提案したアイデアを上司がすぐ否定すると、他のメンバーも萎縮し、発言が減るという悪循環が生まれます。心理的安全性を高めるためには、上司が部下の意見を受け止め、積極的に承認する態度を示すことが重要です。
コミュニケーションの形式的な運用
上司と部下のコミュニケーションが形式化すると、認識ギャップはさらに広がります。DIMEの記事では、形骸化した1on1ミーティングがコミュニケーション問題を悪化させる例として挙げられています。上司が一方的に話すだけでなく、部下が自由に意見を述べられる双方向型の対話を促進することが求められます。
チーム一体感の欠如
「チームの満足度が高いと本音で話せる割合が上がる」という調査結果からも、チーム内の一体感が重要であることが分かります。たとえば、非公式なランチミーティングやチームビルディングイベントを取り入れることで、信頼関係が強化され、部下が安心して本音を語れる環境を作ることが可能です。
まとめ
上司と部下の認識ギャップを解消するには、バイアスや理論を踏まえた上で、具体的な行動を取ることが求められます。本記事で取り上げたように、自己奉仕バイアスや期待不一致、情報の非対称性といった要因が複雑に絡み合っています。このような問題に対処するための具体策として、以下を提案します。
- 心理的安全性の確保:部下が発言しやすい場を提供し、リスクを感じさせない。
- 役割と期待値の明確化:上司と部下で評価基準や目標を共有する。
- 双方向型の対話:1on1やフィードバックセッションを通じて、双方の意見を引き出す。
- チームの信頼関係強化:カジュアルな交流イベントや職場レクリエーションを取り入れる。
これらの取り組みを実行する際には、「立場が変われば見方も変わる」という意識を忘れてはなりません。上司と部下が互いの視点を理解し、相手の立場に立った行動を取ることが、職場の信頼関係を築く第一歩となります。
DIMEの記事や以前のブログ記事でも述べたように、職場のコミュニケーション問題は一朝一夕で解決するものではありません。しかし、今回紹介した理論や具体策を実践することで、少しずつ職場の風通しが改善され、生産性や満足度の向上につながるでしょう。
次回も、ビジネスに役立つ行動経済学の理論を紹介します。お楽しみに!