ビジネス×行動経済学

行動経済学や行動心理学など行動科学の理論やバイアスをビジネスに適用することを目的にしたブログです

2025-01-01から1年間の記事一覧

AI協奏曲2025〈第一楽章〉――AIが職場に溶け込んだ年、私たちは“指揮者”になれるか

IT

2025年、生成AIは「便利な道具」から「職場の前提」へ。私たちは最強ツール探しに熱狂する一方で、思考の外部化や“丸投げ”が静かに進み、判断の責任まで曖昧になりつつあります。本記事は、雇用不安・フィジカルAIへの国家投資・AIウオッシュ/AI検索の情報環…

「賛成」と言い切れない社長たち ― 労働時間規制緩和アンケートに見る「60%の迷い」と行動経済学

日経新聞「社長100人アンケート」で報じられた『労働時間規制緩和に賛成9割』。 しかし内訳を見ると、手放しの賛成はわずか2割台。実は6割もの経営者が「どちらかといえば賛成」という曖昧な回答を選んでいます。 なぜ日本のトップリーダーたちは言い切れな…

地銀は「融資待ち」から卒業できるか:地方創生オーケストレーターという生存戦略

地方銀行は本当に「多すぎる」のか、それとも役割を変えればまだ戦えるのか――。日経の記事(2025年12月28日付)を起点に、メガバンクとの違い、日本企業の99.7%を占める中小企業との関係、そして「融資依頼待ち」から「地方創生のオーケストレーター」への…

「環境に優しい」は本当か?──鴨川メガソーラーが映す“悪い再エネ”の構造

再生可能エネルギーは「環境に優しい」――本当にそう言い切れるでしょうか。 千葉・鴨川のメガソーラー問題を起点に、太陽光・バイオ燃料・風力発電までを俯瞰しながら、「善意の制度」がなぜ環境破壊や住民不信を生んでしまうのかを、行動経済学の観点から解…

地政学一本足打法の危険性:太宰府と鬼怒川に学ぶ観光ポートフォリオ戦略

インバウンドが過去最高水準となる一方、中国団体頼みの構造が揺らぎ始めています。太宰府と鬼怒川という対照的な事例を手がかりに、「地政学リスク」と「オーバーツーリズム」が同じ“集中リスク”の裏表であることを整理し、観光ポートフォリオ(国籍×目的×…

「創業OS」が会社を壊すとき —— カリスマの去り際を「事故」にしないための制度設計論

ニデック永守氏の退任劇を、単なるニュースではなく「行動経済学」のフレームワークで徹底解剖しました。 組織を2兆円企業へ押し上げた「創業OS(直感・熱狂)」は、守成期に入ると「イエスマン」を生み、組織を壊す最大のバグになり得ます。これは個人の資…

炎上するAI広告、止められない企業――反発が連鎖する4つのゲート

AI広告が炎上しても、企業はなぜ止められないのか。そこには「コスト削減」だけでは片付かない合理性があり、消費者側には「不気味」「だまされた」という感覚が連鎖して“正義”に変わる構造があります。本記事では、炎上/許容を分ける「4つのゲート」をモデ…

飲酒運転対策は誰の責任か――シェアモビリティの環境設計

日本経済新聞の記事によると、電動キックボード(特定小型原付)の事故は1年で367件、前年同期比+68%、しかも88%がレンタル中だったそうです。飲酒運転は当然、運転者本人の違法行為。それでも世論はなぜ「LUUPの問題」へと変換しやすいのでしょうか。本記事…

AI時代のコンサル価値は「答え」ではなく「賭けの設計」――Deep researchで消える仕事、残る仕事

「Deep researchで調べられるなら、コンサルは要らない」――そんな一言が現場で現実になりつつあります。では、AI時代に“残る”コンサルの価値は何か。結論はシンプルで、「答え」ではなく「賭けの設計」です。コンサル業務を8工程に分解し、AIに代替されやす…

副首都構想は「成長」か「BCP」か──東京一極集中を“分解”して考える

12月15日の日本経済新聞の記事で報じられていた「副首都」構想。つい「東京一極集中は悪」「副首都を作れば安心」と単純化しがちですが、政策は物語ではなく設計です。本記事では、副首都を①経済成長の拠点づくり、②災害時の首都機能バックアップ(BCP)に分…

先行者は本当に得か?──“47% vs 8%”が語らない現実

新規事業で頻出する「先行者利益」。しかし数字は強力であるほど、前提(定義・観測範囲)を見落とすと意思決定を誤らせます。本記事では『Originals』の「47% vs 8%」を起点に、統計に現れにくい敗者の存在や中国市場の乱立事例を踏まえ、先行・戦略的後…

日本人は本当に不幸なのか?幸福度ランキングをOSと設定ファイルで読み解く

日本の幸福度ランキングは、世界的に見ても「異様に低い」。 しかしデータを分解すると、収入・治安・医療・教育といった客観指標は、実は世界トップクラスです。 では、なぜ日本人は「自分は幸せだ」と言いにくいのか。 日本経済新聞の記事を起点に、行動経…

成功事例はどこまで再現できるのか?:偶然と必然をワッツと行動経済学で読み解く

「成功事例を真似ればうまくいく」──そう信じた瞬間、意思決定はむしろ危うくなります。ダンカン・ワッツ氏の議論を起点に、なぜ過去は“必然の物語”として説明できてしまうのか、そしてなぜ未来は読めないのかを整理しました。見えない失敗(サバイバーシッ…

世界初・豪州SNS禁止法は何を失うのか?:子どものいじめと「ゼロリスク思考」の罠

オーストラリアで世界初となる「16歳未満のSNS禁止法」が施行されました。一見、子どもを守る“正しい対策”のように見えるこの政策は、本当にいじめを減らすのでしょうか。それとも、居場所や学びの機会を奪うのでしょうか。損失回避やゼロリスク思考、風船効…

バカに見える戦略が勝つ理由──「非合理の理」と日本企業の合理主義バイアス

忘年会の幹事決めから、DX・生成AI投資まで──日本企業の意思決定には「合理主義」という名のバイアスがまとわりついています。 一見ムダで非効率に見えるのに、なぜアイリスオーヤマやドンキのような“バカに見える戦略”だけが真似されず、競争優位になってい…

AI時代の哲学的思考:なぜ私たちはAIに判断を丸投げしてはいけないのか

AIが「それっぽい答え」を返してくれる時代、私たちはつい判断までAIに丸投げしたくなります。でも、その前提や責任まで委ねてしまって本当に大丈夫でしょうか。 今回のブログでは、日本経済新聞やNewtonの特集を手がかりに、トロッコ問題やカルネアデスの板…

平等でも公正でもない「納得可能な公平」とは何か?

「それって本当に公平ですか?」天秤を指で押さえる人と、首をかしげる人。私たちの職場では、成果主義・年功序列・女性◯◯ラベリングなど、さまざまな“基準”が混ざり合っています。本記事では、平等/公正との違い、不公平嫌悪や自己奉仕バイアスなど行動経…

AIが“知っている風”な時代に、人間だけが持てる『知』とは何か

『知っているのに現場が変わらない』——そんなモヤモヤを感じたことはありませんか。自転車や母語、ビジネスの課題解決、そしてAI。すべてを一括りにした「知っている」を、〈事実・スキル・実践判断・メタ〉の4層に分解し、どの層をAIに任せ、人間がどこを担…

貧すれば鈍する、鈍すれば貧する:闇バイトにのみ込まれる若者たちの悪循環の心理と構造

「闇バイトはダメだと知っているのに、なぜ若者は吸い込まれてしまうのか?」──日本経済新聞の3本の記事を起点に、「貧すれば鈍する、鈍すれば貧する」という悪循環を行動経済学で分解しました。SNS上の勧誘フロー、日本・欧米・東南アジアの共通構造、そし…

日本人はなぜAIに楽観的なのか:共通の“脳のOS”と日本社会の設定ファイル

日本経済新聞の記事によると、日本では「AIは脅威ではない」「自分の仕事はなくならない」と考える人が多数派だそうです。一方、欧米では不安視が主流。この差は“国民性”ではなく、共通の行動バイアスと日本社会の「設定ファイル」の組み合わせかもしれませ…

飲みニケーション2.0:4兆円時代の「飲まないつながり」をデザインする

思考時間: 28s 「忘年会どうしますか?」のチャットが飛び交う季節。でもその飲み会、本当に“投資”になっていますか?日本経済新聞が示した過剰飲酒の社会的損失4兆円と、Z世代の「行かない合理性」を手がかりに、飲みニケーションをノンアル前提で再設計す…

忘年会って本当に意味あるの?──Z世代が「行かない理由」を行動経済学で読み解く

今年も「忘年会どうします?」の季節。でもその飲み会、本当に“意味”ありますか? 本記事では、日本経済新聞×ダイヤモンド・オンラインの記事を起点に、Z世代が飲み会に価値を感じない理由と、昭和世代の成功体験とのズレを行動経済学で分解しました。 「行…

まじめな人ほど危ない「忍耐」の罠──7兆円損失を生む声だけ大きい職場

AI時代などと言われても、相変わらず「我慢できる人」が評価され、「声だけ大きい人」が得をする職場は少なくありません。その陰で静かに壊れていくのは、まじめで責任感が強く、忍耐強い人たちです。 そこで今回は、日本経済新聞が報じた「こころの不調で年…

AI時代に“残る仕事”が選ばれない理由:エッセンシャルワーカーのパラドックス

AIで仕事が奪われる——そんな不安が語られる一方で、本当はAIに代替されにくい「エッセンシャルワーカー」には人が集まりません。なぜ、社会を支える仕事ほど敬遠されるのか。バスや給食の現場で起きている人手不足を入口に、現状維持バイアスや3Kイメージと…

クマから見れば人間が害獣? 「害獣探し」をやめるための組織論

山で増えるクマやキョンは「害獣」なのか。それとも、森を荒らす人間こそ“害”なのか。 日経の記事をきっかけに、「誰の視点から見た正義なのか?」という問いをクマと会社組織の両方から掘り下げました。 出社回帰をめぐる対立や、「社内の害獣ラベリング」…

黒字リストラとAI時代のキャリア防衛戦略:日本型雇用の「ねじれ」をどう乗り越えるか

業績は黒字なのに、なぜ人は切られるのか。AI投資、株主圧力、「会社は守ってくれるはず」という思い込み…。今回の記事では、黒字リストラの背景を行動経済学で整理しつつ、サバイバー症候群に陥らないためのキャリアの「分散投資」やスキルの守り方、明日か…

「運動は20分以上」の呪いを解く:忙しい人のための“10分だけ”習慣

「運動は20分以上やらないと意味がない」。そう思い込んでいませんか?実は、最新の研究では“1日10分の積み重ね”でも健康やパフォーマンスにしっかり効くことが分かってきています。今回の記事では、8カ月で30kg減量した筆者の経験も交えながら、「20分神話…

アラ古希ワーカーのトイレ・聴力問題をナッジで解決する:行動経済学が示す2030年の職場設計

70歳前後の「アラ古希」社員が抱える、トイレ問題や聞こえづらさ。現場では「配慮しましょう」で片づけられがちですが、それでは本人も組織も疲弊するだけです。 今回の記事では、日本経済新聞の記事を起点に、プロジェクション・バイアスや認知資源の欠乏と…

30代だけが損をする職場:行動経済学で解く「板挟み世代」の三重の罠

こんなに働いているのに、なぜ30代だけ「割を食っている」と感じてしまうのか。上司と部下の板挟み、家計と時間の余裕のなさ、辞めたくても辞めにくいサンクコスト──その三重の罠を行動経済学で分解しました。日経の1万人調査と過去記事(管理職の罰ゲーム化…

SNSとの賢い付き合い方:行動科学で読み解く「人間のクセ増幅装置」

SNSを開くたびに何となく疲れる。でも完全にはやめられない…。そんなモヤモヤの正体を、行動経済学や心理学の視点から分解してみました。「意識高い系」投稿に感化されて燃え尽きてしまう理由、論破文化や幸せアピールが心をすり減らす仕組み、謎タイムライ…